8月に購入して使い続けているシグマのソニーEマウント用レンズ70mm F2.8 DG MACRO。
いわゆる「カミソリマクロ」と呼ばれている伝説のマクロレンズ(シグマ自身が伝説と記載している)の後継レンズで、ソニーEマウント用もラインナップされたため、メイン機で愛用中のα7R IIIやα7S、α6500で使用する目的で購入してみました。
私自身は前モデルを使用したことがないため「カミソリマクロ」と呼ばれるようになった所以のようなものは全く分かりませんが、シグマ曰くこのレンズ
が特徴だとか。
フルサイズ対応のレンズにも関わらず、手頃な値段だったことや、私自身がマクロレンズが好きなことも購入のポイントになりました。
余談ですが、このたまに目にする抽象的な言葉のヌケ(抜け)と言うのは「はっきりとクリアに見え、鮮明に見えること」だとCanonの公式サイトに書かれていましたのでご参考までに。
70mm F2.8 DG MACRO外観
特徴
- レンズ構成枚数 10群13枚
- 絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り)
- 最短撮影距離 25.8cm
- 最大撮影倍率 1:1
- フィルターサイズ φ49㎜
- 最大径 × 長さ φ70.8㎜ × 105.8㎜
- 質量 515g
- 画質最優先の設計思想
- フレア、ゴーストに配慮した設計
- 特殊低分散ガラス
- 簡易防塵防滴機構を採用
- 高精度、堅牢な真鍮製バヨネット・マウント
レンズ構成や特徴に関しては、特に特筆するような点はなさげ。
付属品類
お馴染みのシグマの白い箱に説明書や保証書、レンズポーチが入ったいつもの構成。
安価なレンズにしては立派なレンズポーチが付属していました。
ただ、残念なことに写真の通り「糸」が飛び出していました。
まぁ糸だから切れば良いだけなんだけど「このくらいはOK」で検品を通してしまったのか、それとも「検品で見落とした」のか…。
いずれにしても、これを出荷しちゃうのはどうなのよ?と言うのが率直な感想。
シグマといえば、この間もレンズを覆っていたビニール袋に細かい毛がビッシリついてた個体が届いたし。
こだわりのメイドインジャパンのなんだから、ほんとシッカリして欲しい。
レンズ自体には傷がついていたり、ピンズレしていたりのような初期不良は一切ありませんでしたが。
サイズ感
- 最大径 × 長さ φ70.8㎜ × 105.8㎜
- 質量 515g
長めのレンズながら、鏡筒が細くて軽めなので取り回しは悪くありません。
GマスターレンズのSEL100F28GMと比較するとこんな感じ。
今流行り?の例のマウント径の大小のサイズの話にも繋がる話ですけど、確かにEマウントはマウント径が小さいので、Gマスターレンズのようなぶっといレンズよりもこういう細めのレンズの方が装着感はしっくりきますね。
レンズフィルター径に関しても、マクロレンズは総じてフィルター径が小さいのですが、このレンズも御多分に洩れずフィルター径は49mmと非常に小さいのが特徴。
ソニーEでフィルター径49mmだと、所有している人たちが少なくないであろう定番の
このツァイスの単焦点レンズと一緒なので、フィルター類を使いまわせます。
70mm F2.8 DG MACROのAFスピード&精度
繰り出し式のフローティングフォーカスだったり、バイワイヤと呼ばれる方式を採用しているそうで、AF時にレンズの鏡筒が伸び縮みする関係上、一般的なEマウント用レンズと比較するとAF速度は遅いです。
ピントが普通にスッと合う時は不満が出ないレベルの速度が出るものの、コントラストが弱い被写体だとピントが抜けて行ったり来たりしてしまって非常に合焦速度が遅くなることもままあります。
ただ、伸縮するレンズというのは事前に情報が入っていましたし、自分が予想していたよりは速かった上に、精度の点で全く問題なかったので個人的に全然OK。
私は好んで動体撮影(小さい鳥だとか)しませんし、
最近だとXF10だったり、
発売日から使い続けて未だに所有しているsd QuattroのようなAFが酷いカメラも使ってきているので、今時の普通のカメラを使っているユーザーと比較すると採点的は甘めでしょうが。
動画撮影時の場合も使えない遅さではありませんし、顔認識も働きます(α6500、α7R IIIで確認済み)が、遠くの被写体からカメラの前に手のひらを出してのような良くあるテストをすると、フォーカスは全く合いません。
フォーカスが大きく動く場合はシャッターボタン半押しやMFを使用して手動で合わせる必要があります。
フォーカス音に関してはそれなりには聞こえますが、写真撮影時は殆ど気にならない程度の音ですし、動画撮影時もチリチリと小さな音が鳴る程度で、そこまで気になることはないかと。
ただし、上記した通りで大きくフォーカスを動かす場合は手動でのピント合わせになってしまい、その際は鏡筒の伸び縮みする音が入るので、そのままでは使えないかも。
ちなみに距離ごとに分かれた3段階のフォーカスレンジリミッターがついていますが、AF速度の面ではあまり関係ないのかな?くらいにしか感じませんでした。
FULLでも私にとってはそれなりに十分な速度だし、例えば「0.5mまで」に合わせると0.5mをちょっとでも離れてしまうと当然フォーカスが合わなくなってしまいますから、私は面倒くさいからFULLのままで使っています。
もちろん運用状況によっては使えるケースもあるのでしょうが。
写真使い回しであれですが、最短撮影距離は25.8cmで、もっとも近づけて撮影した場合はこのくらいまで寄れます。
レンズの伸びは最も近づけて撮影した場合に最長になる形で、ここまで伸びます。
そのため、このレンズにおけるレンズフードの役割は、光をカットする目的よりも、伸びた際に被写体にぶつからないようにする役割の意味合いが大きいそう。
確かにこの最も伸びた状態と同じくらいの長さのレンズフードが付属します。
Eマウント用のみ出来ないこと
- SIGMA USB DOCK使用不可
- テレコンバーター非対応
USB DOCKと言うのは
こんなやつで、これにレンズを装着することで、レンズのファームウェアをアップデート出来たり、ピントの微調整をユーザー自身で出来たりするシグマ純正のアクセサリーのこと。
そもそもEマウント用が未だ販売されていないため使用出来ないようですね。
私自身はsd Quattro用にシグマSAのUSB DOCKを持っているのですが、レンズのファームウェアのアップデートに1回使っただけで、ピントの微調整は面倒臭くて試したことすらありません。
レンズを乗せて専用ソフトを起動すると自動でピントが調整されるような機能はなく、自分で設定しなければいけないため面倒くさ過ぎです。
万一「ピンズレしている」「してしまった」「微妙に合ってない感じがする」ってな場合はシグマに送れば調整してもらえるし。
テレコンに関しては、装着すると140mm F5.6のレンズとして使えるそう。
せっかくの解放F2.8のレンズがF5.6になってしまうようなので、こっちに関しても個人的にはどーでもいいかなとは。
70mm F2.8 DG MACROのサンプル写真
以下このレンズで撮影してみたサンプル写真です。
装着したボディはα7R III(1枚のみα6500)で、JPEGではなく、RAWファイルをLightroomで現像しています。
玉ボケとレンズ 光芒(光条)チェックの写真を除いて2048pxにリサイズしてFlickrにアップしているので拡大可能です。
開放F2.8の写真。
フリー素材のひまわりをiMacに表示させて背景にし、手前にフィギュア(キューポッシュ)を置いて撮影してみました。
三脚使用で目にMFで合わせていますが、鏡筒が伸び縮みする特殊なレンズのためか、フォーカスリングのトルク感や、フォーカスのスピードが絶妙なので、行き過ぎる失敗が少なくてMF時のピント合わせが非常に楽です。
開放でも目のアイプリの粗まで写ってしまうほどピント位置付近は解像しますが、背景はかなり綺麗にボケてくれたので、背景がMacのモニターだとは気付かれないのではないかと。
F5.6まで絞って真上から草を写してみました。
もちろんα7RIIIの力もあるのでしょうが、本当にシャープで良く解像するマクロレンズだと思います。
解像感だけで言ったら、3倍以上した上で並べたSEL100F28GMとこのレンズとどちらが上か分からないほどくらいに感じます。
マクロレンズらしく最大まで寄って開放F2.8で寝ている猫ちゃんの鼻を。
Lightroomで等倍に拡大表示した写真をキャプチャーしてアップしてみました。
シャッタースピードの関係上、微ブレしているかも知れませんが、鼻のポツポツや細かい毛まで克明に描写しています。
ISO800でちょっとノイジーですが、ボケも滑らかで自然でとても綺麗ではないかと。
「カミソリ」なんて言うもんだから、バキバキにシャープなだけでボケまで硬めなのかと思いきやそんなことは全くありません。
ほんと良いレンズだと思います。
F6.3でコップについた水滴を。これもMFで。
水滴の中に室内がハッキリと写り込んでいます。
この写真だけα6500で撮影してみています。
周辺減光が目立つのは雰囲気出すために現像時にあえて加えたから。
ちなみにこのフィギュアは以前ご紹介したプライム1のあのフィギュア。
もちろん普通の焦点距離70mmの単焦点レンズとして風景を撮影してもバッチリです。
玉ボケ
開放F2.8で撮影。
絞り羽根は9枚の円形絞りで玉ボケはまずまず綺麗。
ゴーストやフレア
F13まで絞った写真でゴースト等が目立つような色味に現像してみた写真になりますが「フレア、ゴーストに配慮した設計」とのことで、特にゴーストやフレアが気になることはありませんでした。
ArtやContemporary等に分かれる以前のシグマのレンズも持っている(85mm F1.4)のですが、描写性能自体はそれほど差はないものの、ゴーストやフレアが盛大に出るので、今現在のシグマのレンズはゴーストやフレアの抑制にかなり力を入れているみたいです。
まぁもちろん逆光で撮影した際の太陽の角度とかによっては目立つことはあると思います。
個人的には出たら出たで活かすだけだし、ゴーストが出ないと寂しいくらいに感じる方なので、殆ど気にはなりませんが。
買って欲しいと思う理由
サイズ的に多少大きいのと、AF速度が遅めなのが玉に瑕ではありますが、そんなデメリットを見事に吹き飛ばすほど良く写ります。
とにかく「良く写る!」この1点だけで買いの理由になる間違いなく素晴らしいレンズだと実感しました。
おまけにフルサイズ対応なのに安い!
全てのメーカーのレンズを含めても、この価格帯で最も写るレンズの1本じゃないですかね?このレンズ。
ピントさえシッカリ合わせてシャッター押すだけでビックリするような写真が出てくるので、撮影中もPCで確認中もとても良い気分にさせてくれちゃいます。
書いた通りで、ただシャープなだけではなく、ボケも結構綺麗なので本当に使ってて楽しいレンズだなと。
α6000やα7 IIなんかで運用するのも良いでしょうし、ソニー以外のCanonやニコンユーザーにもオススメです。
マクロ好きはもちろん、70mmの中望遠レンズとしても非常に優秀なので、このレンズは買っておいた方が絶対良いと思います。
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