16万5,000円くらいとレンズとしては非常に高額であるため、ソニーストアでカートに入れては削除を何日も繰り返し、悩みに悩んだ末にとうとう買ってしまったソニーEマウント用レンズFE 100mm F2.8 STF GM OSS(SEL100F28GM)。
購入したのは3/31日で、4/13日発送の4/14日着で届きました。
購入金額は割引クーポンとお買い物券2,000円を併用して165,670円で、水没破損等にも対応した3年間の無料保証付き。
高かったけど、カメラと違ってレンズは大事に使ってさえいれば、数年経ってもそれほど価値が下がらない物なので、いざとなったら手放せる資産的な意味合いもあるからと納得させて思い切って買っちゃいました。
相変わらずソニーストアにはエアキャップ(プチプチ)で商品を梱包すると言う概念がないようで、厚紙が緩衝材で入れられているだけでしたが、GMレンズのせいか、何気にいつもよりも厚紙の量が多かった気が。
SEL100F28GMの詳細レビュー
SEL100F28GMのキャリングケース
まるでバンナイズ製のような素晴らしいキャリングケースにレンズが入っていました。
スライダーに持ち手が付いてたり、
両側には付属の専用ストラップを付けられたりとコンデジとかの小さいカメラ用のキャリングバッグとしても使えそうなくらい良く出来ています。
ソフトキャリングケースの名称通り、中はちゃんと衝撃を和らげるクッション仕様になっているのも◯
って言うか、この間購入した「SEL70300G」と3万くらいしか違わないのに、何故ここまで付属品の扱いが違うのかちょっと理解に苦しみます。
やはりこちらは最高峰のEマウントレンズGMレンズだからでしょうか?
SEL100F28GMの付属品
- SEL100F28GM本体
- レンズフード(ALC-SH147)
- ソフトキャリングケース
- キャリングケースに付けるストラップ
- 説明書類
レンズフード(ALC-SH147)
これまた高級仕様のレンズフードが付属してきました。
先端の外側の縁取りがゴム(シリコン?)製なので、地面に置いた際にフードに傷がつかず、フードの内側はザラザラしており、レンズに埃が付着するのをここでキャッチする形。
ただ、この手の内側がザラザラのレンズフードはCanonの60mmマクロに付属していたので1個持っていますが、本当に埃がくっつくんだけど、ついた埃が取りにくいから個人的には嫌い。
フードに関してもSEL70300Gの方(写真右)は安っぽい普通のプラフード。
SEL100F28GMのサイズ感
レンズフード込みで500mmペットボトルと並べるとこのくらいの大きさ。
実寸は
- 85.2mm x 118.1mm
- 重量:約700g
と、大きさも重量も太さもそこそこありますが、レンズの描画性能と大きさはトレードオフですから仕方がないですね。
SEL70300Gと比較するとこんな感じ。
SEL70300Gは望遠レンズだからここから更に伸びますけど。
ド定番のソニーツァイスSEL55F18Zを加えてみるとこんな感じ。
SEL100F28GMの質感
材質の表記がないから良く分からないのですが、シボ感がある金属なのかな?α6500のボディと同じ質感っぽいから、フルマグネシウム合金?
SEL55F18Zなんかは、持った瞬間にヒヤッとしていかにも金属の硬質な触り心地が気持ち良くて高級感を感じるのですが、SEL100F28GMの材質は個人的にはイマイチ感を覚えます。
恐らく軽量化のために使われている素材(非常に軽そう)なのでしょうが、プラと金属の中間のようなちょっと安っぽい素材の印象が。
α7S×SEL100F28GM
こんな感じでやっぱり見た目デカイくなるけど、でもカッコ良い!
やっぱカメラもレンズもデザインはほんと大事。
α6500×SEL100F28GM
ソニーEマウントなので、APS-Cのα6000シリーズにもフルサイズのこのレンズが装着可能ですが、α7シリーズよりもボディサイズが小さい分、更に大きく見えます。
実際持ってもフロントヘビーで持ちやすくはありません。ただ慣れちゃえ何てことはない大きさ&重量感ではあります。
SEL100F28GMの特徴まとめ
主な仕様
- 焦点距離:100mm
- 開放絞り:(F値) F2.8(T5.6)
- 最小絞り:(F値) F20(T22)
- 絞り羽根:11枚円形絞り
- 最短撮影距離:0.85m
- マクロ切り換え:0.57m
- 手ブレ補正:レンズ内手ブレ補正OSS
主な特徴
- 優れた解像力と美しいぼけ味を誇るソニーのG Masterレンズ
- ぼけ描写を実現した100mm中望遠単焦点STF(Smooth Trans Focus)レンズ。
- 専用設計のアポダイゼーション(APD)光学エレメント
- 高速・高精度かつ静粛なAF性能
- マクロ切り換えで最短撮影距離0.57m、最大撮影倍率0.25倍の近接撮影が可能
- ナノARコーティング
- 点像の輪郭を柔らかくし二線ぼけの発生を抑制
- 11枚羽根の円形絞り
- 光学式手ブレ補正機構搭載
- 高い操作性で防塵防滴に配慮
以上、ソニー公式サイトのSEL100F28GM説明より。
STFレンズのTナンバー
このレンズには絞りリングが付いていて、レンズ右側にはこの絞りリングのクリック音をオンオフ出来るスイッチがあり、動画撮影時に音が鳴らない配慮がなされています。
写真の通りで、絞りリングの絞り値の5.6Tから8までがSTFのTナンバーで、この5.6から8まではアポダイゼーション効果が発生し、絞り8以降はアポダイゼーション効果がオフになり、通常のレンズの絞り値と一緒。
5.6と言うのはF値じゃなくてTナンバーと呼ばれる値なんだけど、EXIFに記載される際はそのままF5.6と表示されるのでちょっとややこしい。
このレンズの名称にF2.8が入っていることからも分かる通り、T5.6はF2.8の明るさに相当するようなのですが、APD光学エレメントが入っているから実際はF5.6の明るさになるそう。
このこともちょっとややこしいですね。
SEL100F28GMの実際の明るさ
SEL100F28GMの実際のレンズの明るさを調べるため、絞り優先モードで撮影して、別のレンズSEL55F18Zと撮り比べてISO感度の上がり具合をチェックしてみました。
最初にSEL100F28GMでの撮影。
F5.6と表示されていますが、これがT5.6の状態で、このレンズの開放F値。
室内での撮影ですが、ISOはオート設定で3200まで上昇しました。
レンズをSEL55F18Zに変更してF2.8で撮影してみると、ISOは800までしか上がりません。
この段階でSEL100F28GMのT5.6の実際の明るさはやはりF2.8では無いことが分かります。
SEL55F18ZをつけたままF5.6に変更すると、ISO3200まで上がり、SEL100F28GMの開放T5.6の時と一致しました。
レンズ名が「FE 100mm F2.8 STF GM OSS」とF2.8という記載があるため、「F2.8じゃないじゃん!」と価格コムの掲示板で怒っている人がいましたけど、F2.8の明るさのレンズなんだけど、APD光学エレメントが入っているため、光量が落ちて実際はF5.6と同じ明るさになるから、実際の明るさはF5.6の単焦点レンズと一緒ってことらしいです。
その他の特徴
手前に0.57mから1mまでのマクロ域と0.85mから無限大の切り替えレバーがあり。
フォーカスホールドボタン付き。
OSS(手ぶれ補正機能)も搭載で、ボディ内手ぶれ補正無しのα7Sで使った印象だとかなり強力に感じました。
ピタっと止まってくれて、シャッタースピード1/20くらいでもブレない写真が撮れます。
フォーカスリングは非常に滑らかに動きますが、少し軽いので、個人的にはもう少しトルク感が欲しかった。
こんな感じで物理ボタンが盛り沢山で使いやすい反面、色々盛り沢山だとシンプル構造の単焦点と比較すると故障の心配は増えそう。
SEL100F28GMの作例
全てα7S、JPEG撮って出し、Tナンバー5.6(アポダイゼーション効果MAX)で撮影した写真となります。それ以外は別途説明入れています。
横2048pxにリサイズし、Lightroomで85%で書き出し。全てFlickrにアップしているためクリックすると拡大します。
まず驚かされたのはボケ云々よりもピントの合った部分の描写の緻密ささと立体感。
撮影は1200万画素機のα7Sで行なっていますが、本当にびっくりするくらいシャープで浮き上がって見える感じ。
α7Sで驚くんだから、高画素機のα7R2とかだったら相当凄いんでしょう。
ボケを意識して撮影してみました。
当たり前ですが、ファインダーや液晶画面の状態で美しいボケが見て取れるので、撮影していてもテンションが上ります。
私は初STFレンズなんで、このボケを上手に生かした作例となるとやっぱり難しかったです。
そもそもSTFなんて蝶野の得意技でしか耳にしたことがなかった私としては、どのようなボケの表現をすればSTFレンズで写した写真っぽくなるのかがまず分からない。
ここら辺は上手な人たちの写真を見まくった上で、枚数撮って自分で覚えていくしかないのかな?
もちろん適当に撮ってもボケは綺麗で滑らかに表現されますけどもSTFならではの作例はなかなか上手く行きませんでした。
SEL100F28GM失敗サンプル
失敗と言うかボケが不自然でおかしい?汚い?変な写り方した2枚。
どうも風の強い日に二線ボケが出やすい被写体を撮影するとこのように枝が気持ち悪いボケになったりしてしまうケースがあるようです。
何故このような写り方をする写真が出るのか理由はサッパリ分からないものの、100枚くらい写した内の15枚くらいがこんな感じでした。
更に撮影してみて検証してみたところ、やはり細い枝が密集している場所や、強風で被写体が動いているのにシャッタースピードが遅かったりするとこんな感じの不自然なボケ方してしまうようです
マクロ域のボケ量
マクロ域切り換え機能搭載なので、近接撮影(最短撮影距離0.57m、最大撮影倍率0.25倍)で寄ってかなり大きくぼかすことが可能でした。
シグマレンズとのボケ量比較
上から
- SEL100F28GMの開放5.6T
- シグマ 85mm F1.4 EX DG HSMのF2.8
- シグマ 85mm F1.4 EX DG HSMのF4。
MC-11使用で比較してみましたが、焦点距離が異なるから厳密な比較ではないものの、レンズの一番明るい状態の5.6TでF5.6と表示されるけど、少なくてもボケに関してはF5.6のボケ量ではなく、もっと大きくボケるのは間違いないよう。
やはりSEL100F28GMの背景ボケは一番滑らかで綺麗ですね。
ちなみにこのシグマの85mmはArtじゃない旧型。
なお、この3枚はそれぞれのレンズのコーティングの影響なのか、結構色が大きく異なったため、RAWで撮影後に色味だけなるべく同じに見えるように若干修正してます。
SEL100F28GMとSEL70300Gのボケ比較
JPEG撮って出しを等倍でこの部分だけ切り出して比較してみています。
ピント位置は両写真共に右端のピンクの花で、焦点距離100mm、F5.6で揃えてます。
SEL70300Gも解像力に優れるGレンズですが、SEL100F28GMはボケの美しさと解像力の両方を兼ね揃えているんだからやはり凄いレンズです。
特にボケの美しさはこうやって他のレンズと比較すると一目瞭然でした。
SEL100F28GMの玉ボケ
この間899円で買った「LEDの玉ボケ製造機」を使用して部屋でMFで撮影してみました。
上下共にT5.6で、上がマクロ側、下が85mmから無限大の方で。
このレンズはまん丸の玉ボケが出来るとのことですが、確かに丸っこくて綺麗ですかね。
ちなみにこれがSEL55F18Zの玉ボケ。
こっちも割と綺麗な丸ですね。
最後にLightroomでRAW現像してみた写真を。
明瞭度等々の様々なパラメーターをあえて大幅に弄ってみたけど、変なボケが目立ってきたりのようなおかしな症状はありませんでした。
特殊なレンズですけど現像で大きくいじっても普通に大丈夫みたいです。
α6500×SEL100F28GMの作例
ここからはAPS-Cセンサーのα6500で撮った写真を。
この2枚はRAW現像で色味を少しいじって調整しました。
APS-Cだと焦点距離が150mmになるので、大きなボケもかえって作りやすい印象でした。
ここから下は全てJPEG撮って出し。色味はビビッドで。
前ボケ重視で。
これからの季節ネモフィラとかの撮影に活躍しそう。
ボケ写真ばかりじゃなくカリっとしたのも1枚。
初GMレンズということもあるからか、やっぱGMの写りすげーなーと感心しきり。
こちらがアポダイゼーション効果MAXのT5.6で
こちらがアポダイゼーション効果最小のT8。
当然とはいえ、随分と背景ボケの印象が異なる写真になりました。
フルサイズ機を使わなくても解像感もボケ具合は十分で、やっぱり凄いレンズなんだなと染み染み。
動画撮影時の玉ボケサンプル
このレンズは動画撮影時にも当然綺麗な玉ボケが出ますので、どんな感じになるのか動画にしてみました。
カメラはα6500で手持ち撮影。MFでピントをいじって遊んでます。
SEL100F28GMの不満点
マクロ域切り換えがストレス溜まる
- 0.57mから1mまで
- 0.85mから無限遠
この「マクロ域切り換え機能」がついているのは有難いのだけど、なかなか距離感を掴めず、頻繁に切り換える羽目になってしまうのがちょっとストレス溜まりました。
この位置だとマクロ側でいけるのか、それとも0.85から無限遠側にスライドさせないといけないのかが慣れないと苦戦するかも。
まぁ使っていくうちに慣れていくとは思いますが。
やっぱり暗い
レンズ名にF2.8が記載されているとは言え、実質F5.6相当の明るさなのでやはり暗いです。
私は写真撮影の9割が室内での猫撮りなので、F5.6だと昼間でも三脚使う羽目になります。
ソニーEマウントだと、焦点距離が多少短いとはいえ、80mmで5万円台で買える「SEL85F18」、85mmの165,000円で買えるGMレンズの「SEL85F14GM」と2本の明るくて写りが良いと評判の単焦点レンズがあるし、これまた非常にシャープな写りで評判のF2.8の90mm「SEL90M28G」もあるので、同じような焦点距離でどれか1本と考えると悩みどころかも。
もちろんこのレンズの特殊で美しいボケ感は他の大口径レンズでは味わえないものではありますが…。
メモリの位置ズレ
しばらく使っていたらマクロ側に合わせる際のメモリの位置が写真のようにズレるようになってしまいました。
微妙な位置ズレですし、切り替え機能自体は問題ないので、修理に出したりのような大袈裟な話ではないものの、私はどちらかと言えば神経質な方なので、こう言うのを見ると気持ちが悪くて気になってしまいます。
Eマウント最高峰のGMレンズで、それなりの高額レンズなわけですから、こう言う部分までしっかり作り込んで欲しかったと言うのが本音。
SEL100F28GMを実際に使用してみた感想
まさにうたい文句通りで、GMレンズならではのピントの合った部分のシャープさに驚かされましたし、あとはやっぱりボケの美しさもとても気に入りました。
ボケが滑らかだからこそピントの合った部分が余計にシャープに見えて、立体的に浮かび上がるんでしょう。
残念ながらポートレートは撮らせてくれるモデルがいなくて撮れませんでしたが、ポートレート用にも最適でしょうし、花を撮るのが好きな方にも絶対オススメ。
私は飼い猫以外だと花を撮るのが一番楽しいから、高かったけどこのレンズを購入して本当に良かったです。
難しいレンズだけど
ただ、実際に使ってみると、確かに普通に撮っただけで綺麗に写るんだけど、この「STFレンズならでは」の表現をしてみたいと考えるとかなり難しいかなとも。
簡単に綺麗な写真が撮れるものの、実は物凄く奥が深くて使い倒し甲斐があるレンズだと思うので、それこそ初心者から上級者まで幅広い層で楽しめるレンズなのかも知れません。
とりあえず待っていても値崩れが期待出来ないレンズでしょうし、10年後も高値で買い取ってもらえる類のレンズだろうから、迷っている方は是非買ってしまった方が吉だと思いますよ。
SEL100F28GMは色のりが良いレンズ?
そうそう、バラとか撮ってて気付いたのですが、このレンズいわゆる「色のりが良いレンズ」ってやつなのでしょうか?
このバラの写真はRAWで撮ったデータを色味を一切いじることなくそのままアップした写真ですけど、ソニーのRAWデータって色が薄味で、Lightroomで読み込むと色褪せたような色に変化する事が多いと思うのですが、このレンズで撮影してきたRAWデータは色が肉眼で見た色に非常に近い状態で保存されている気がします。
様々な色のバラの写真を撮ってきたのですが、どの花のRAWデータの色を見ても殆どいじらなくて良いくらいにキチンと色が出ていて、Lightroomのプロファイル「Adobe Standard」のままで良いくらい。
カメラ用語知らないから間違っていたら恥ずかしいけど、これが「色のりが良い」って事なのかなとふと思ったので追記してみました。間違っていたらコメントでご指摘下さい。
SEL100F28GMを約5か月使ってみて
ファインダーや液晶を見ている段階で既に綺麗にボケてくれますから、とにかく使っていて本当に楽しくなるレンズです。
「圧倒的な解像力と、とろけるようなぼけ味」というG MASTERレンズの売り文句通りの描写性能だというのは私でも十分実感することができました。
2048pxにリサイズしてもトカゲの鱗一枚一枚まで確認できるくらいの解像力。でも前後のボケはちゃんと滑らかで綺麗にボケています。
二線ボケが出たり、ボケが汚くなったりする事も当然ありますが、普通のレンズと比較すれば圧倒的に少なく、難しく考えることなく、簡単にワンランク上の写真が撮れるのは本当に魅力的。
価格もこなれて13万円台だし、Eマウントユーザーなら迷わず買いの1本じゃないかと。
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