発売日(2019年12月20日)に購入したシグマのArtレンズ「24-70mm F2.8 DG DN」。
非常に気に入ってしまい、半年近くほぼα7R IIIに付けっ放しの状態が続いています。
今回はそのお気に入りの理由と、いまいちだった点を正直に。
「24-70mm F2.8 DG DN」の良かった点
デザイン&質感
一目で「シグマのレンズ」と分かる統一性のある特徴的なデザインをこのレンズでも採用していて、個人的には見慣れたお気に入りのデザインです。
質感に関してはシグマの公式サイト上に記載がないので推測にはなりますが、外装はマウントの黒い部分を除くとゴムと樹脂製っぽくて、個人的にはあまり高級感は感じませんが、レンズがギッシリ詰まっている重量のある迫力ボディなので、実際カメラに装着してみると途端に安っぽさを感じなくなります。
ちなみに外装ではなくズームして伸ばして際に飛び出てくる鏡筒部分は金属製。
70mmまでだからテレ端までズームしてもこのくらいしか伸びません。
私はタムロンの28-75mmも購入して使用していました(現在は売却済み)が、シグマのレンズの方が「レンズの質感や高級感」という点では圧勝かな。
ズームロックスイッチが見えると思いますけど、レンズを下に向けても自重で垂れ下がることがまずないため、普段ロックをかけることはまずありません。
ここら辺もしっかり計算して作られているようです。
書いた通りロックすることがなかったから気付かなかったのですが、このロックスイッチは強めにズーム操作するとパチンっと心地良い音が鳴って自動解除される仕様(公式サイトにも記載あり)でした。こういう細かいところまでこだわって作られたレンズのようです。
スイッチやボタン類もしっかりとした感触でカチっと作られていて好印象だし、フォーカス、ズームリング共に硬質感のあるゴム素材で指の引っ掛かりも良くて操作しやすいです。
実際このレンズってF2.8通しのいわゆる「大三元レンズ」と呼ばれる類のレンズなので、純正だとどこのメーカーのミラーレス用レンズでも軒並み25万円以上はするのに、実売価格で11万5,000円程度買えてしまうコスパの高いレンズだったりします。
それで全体的にこのレベルの質感だったら全く問題ないし、ほとんどの方が不満は出ないのではなかろうかと個人的には思います。
突出した描写性能
ズームレンズとしては突出した描写性能に感じています。
月並みな表現ですが、単焦点レンズ並の描写力と表現したくなるほど。
もっとも私は他社(ZとかEOS Rとか)を使っていませんから、そっちの凄いズームレンズと比較してではなく、私が今まで使ってきたズームレンズ比限定での話ではありますが。
特にこのレンズが来るまで常用していた「SEL24105G」との比較だと、RAWで撮影した写真を現像する際に
- このレンズ:シャープネスを上げる必要性なし
- SEL24105G:シャープネス60以上
これで同等程度の解像度の写真に仕上がるような印象すら持ってしまうほど「24-70mm F2.8 DG DN」は解像感の高い写真を撮影することが可能な印象を持ちました。
値段の手頃さ
上記しましたが、
2020年5月現在の実売価格で11万5,000円程度で購入可能です。
ソニーEマウント用のフルサイズ対応のズームレンズだと競合する
タムロンのこのレンズが78,000円程度で買えてしまうため、この差をどう考えるかですけど、個人的にはレンズの質感と描写性能の高さでこちらをチョイスしています。
っていうかタムロンのレンズはタムロンのサポート対応が信用できなくて結局私は売ってしまいました。
致命的な不具合見つかっているにも関わらず対応が遅かったし。
「17-28mm F/2.8 Di III RXD」だって不具合対応遅いし「70-180mm F/2.8 Di III VXD」だって不具合に気付いてて販売しちゃってるし。
実際使ってタムロンのレンズの良さは分かりましたけど、サポート対応含めて私はシグマを(もしくは純正を)応援したいなと。
シーリングを施して防塵防滴に配慮
私が愛用している「α7R III」の防塵防滴性能がいまいちだから積極的に雨天時に使うことはできないものの、このレンズは「配慮レベル」とはいえ、防塵防滴性能を有しているのは嬉しい点です。
動画撮影にもバッチリ使える点
- 良好なAF速度と精度
- オートフォーカス時に音が全く鳴らない
動画撮影時のAFは純正の24-105mmあたりと比較すると、特に低照度下で若干AF速度がもたつくような印象は受けますが、それでも非常に高速で精度も問題がなく、AF駆動音が一切鳴らないことも合わさって動画撮影用としても何ら問題なく使えるレンズです。
「24-70mm F2.8 DG DN」がいまいちに感じた点
汚れが付着しやすいレンズフード
質感も上々でロックボタン付きで良いレンズフードなんですけど、レンズ側部分(写真のローレット部分から下)がゴム製でここにホコリや汚れが付着しやすいのが気に入りません。
回しやすくするためにあえてゴム製を採用しているのでしょうが、個人的にはこれは必要なかったなと。
やっぱりデカ重い
焦点距離全域で単焦点並みの描写性能と言っても過言じゃない写りをしますから、考えようによっては単焦点レンズを何本も持ち歩くよりも結果的に軽いでしょとは言えるものの、やはり実際に付けて持ち歩くとデカくて重いです。
「24-70mm F2.8 DG DN」とソニー定番の標準ズームレンズの「SEL24105G」とのサイズ比較はこんな感じ。
と重量比較でも「SEL24105G」を上回ります。
AFが純正よりも微妙に遅い
ソニー純正レンズではないから当然なのかもしれませんが「SEL24105G」なんかと比較すると、AFが気持ち遅いのかな?と。
ただ、瞳AFに関しては特に問題なく純正レンズ同様に動作しますし、動物瞳AFに関してもうちの猫たち4匹で試してみても純正と大差ないとは思います。
フィルター径が82mm
事前に知って買っているとは言え、フィルター径が82mmだとレンズ保護フィルター、NDフィルター、PLフィルター等々、フィルター類が高くつくのが難点。
私はこのレンズには同じシグマの
「WR UV」を保護フィルターとして付けているのですが、今確認したら82mmは1万円超えていてビックリ。
ここら辺タムロンはしたたかで、フィルター径は67mmでソニー用を揃えていたりするんですよねー。
テレ端70mmは短い
これに関しても分かって買っているわけで言っても仕方がない話ではありますが、
やっぱり実際に持ち歩くと「もう少し焦点距離が欲しい」と感じることが多々あります。
105mmまでつかえる「SEL24105G」を使ってきているから尚更そう感じてしまうのかも知れませんが。
レンズキャップの歪み
フィルター径が82mmと大きいにも関わらず、レンズキャップが薄いことが関係しているのか、両端が歪んでしまってキャップをはめると両端だけ少し浮いてしまうようになってしまいました。
この件に関しては、私は保護フィルターに強力な撥水・撥油コーティングが施されているケンコーのZXを取り付けていることもあって、毎回使い終える度にレンズキャップをはめなかった私も悪かったのは間違いありませんけど。
なお、フィルターを外した状態でキャップをはめても両端だけ浮いてしまいます。
特に梅雨の時期はカメラやレンズは必ず防湿庫内で保管しているものの、レンズキャップのみ部屋に置いていたなんてこともそれなりにあり、特に今年は梅雨が長くて晴れ間もほとんどなかったことも重なって湿度の影響で曲がってしまったのかも知れません。
とはいえ、タムロンの分厚いレンズキャップなんかと比較すると貧弱なのは確かだし、そもそもシグマのレンズキャップ(ソニーEのミラーレス用)は中央が微妙に凹んだ形状だから尚更端が歪みやすいんだと思われます。
フィルター径が大きいレンズだけでもいいから、歪みにくいレンズキャップを付属してくれると有難いなと感じました。
レンズ内のチリ、小ゴミが酷い!
2021年の4月にたまたま気付いたので、いつ頃からこのような状態なのかは不明ですが、太陽光に当てて確認してみたらレンズ内にチリや小ゴミが沢山確認出来てビックリ。
写真は購入して即装着しているレンズ保護フィルターを外して最大にズームした状態(確認しやすくなる)撮影してみていますが、これらのチリはレンズ表面じゃなくて明らかに中の恐らく2枚目のレンズの上に付着しているのが確認出来ます。
念のため近くにあった質感的にはかなり劣るフジのXF1680を確認してみたところ、チリの混入はほぼありませんでしたし、他のソニーのレンズでも殆どありません。
もちろんズームレンズだから鏡筒の伸縮時に空気が入るため、どうしてもチリや小ゴミは入りやすくなるのは仕方がないのですが、ちょっとこのレンズは非常に混入しやすいのかも知れません。
別にこのレンズだけ入りやすいような環境下で保管していたり、撮影ポイントに持って行ったりはしていないので。
「24-70mm F2.8 DG DN」の作例
以下このレンズとα7R IIIを使用した作例です。
横680pxとかなり縮小してしまっているため、解像感とか分かり難いかとは思いますが、PCよりもスマホで閲覧した方が分かりやすいかも知れません。
作例はいずれもJPEG撮って出しと、写りが暗すぎた写真のみLightroomで色味の修正とJPEGだとカメラ側で自動補正される歪曲収差の補正のみ現像しています。
ワイド端がとにかく寄れる!
このレンズはワイド端がメチャクチャ寄れます!
最短撮影距離はワイド端でなんと18cmなので、レンズフードの先端が被写体にぶつかるくらいまで寄れてしまいます。
ゴースト&フレア耐性
ゴーストとフレアに関してはかなり対策にこだわって作っているとのことで、確かに出難い印象を持ちます。
いずれもF7.1以上に絞った状態で、レンズ保護フィルターを外して撮影した写真。
コーティングによるフレアやゴーストの抑制はかなり優秀に感じました。
一応出そうと思えばこの通りで出せるのですが、撮影角度をちょっと変えるだけでも消せますし、ゴーストはアジでもあるんで、全く出ないのも困りものだと個人的には。
かなりキレイな玉ボケ
焦点距離37mmで開放F2.8の玉ボケ例。
円形絞り(11枚羽根)なので、開放付近だと確かに中央はかなり真丸の玉ボケが発生するようです。
焦点距離68mmで開放F2.8の玉ボケ例。
周辺に行くに連れてレモン型になるみたいですけど、個人的には玉ボケの形は大した気にならないのでどーでも良いかなとは。
AFの速度や精度に関する作例
「AFが純正に比べると遅い」と書きましたが、そこは純正レンズとの組み合わせで爆速のソニーのカメラのAFと比較しての話で、このレンズでも写真のようないきなり横切るように飛んできたカモメでも問題なく捕捉可能な速度と精度は備わっています。
ちなみに写真のカモメはフォーカスエリア(AFエリア)はワイド(カメラ任せ)でα7RⅢで撮影。
解像力に関する作例
この2枚はFlickrに横2048pxに縮小して貼り付けましたので、写真をクリックするとFlickr上で大きな写真で確認可能です。
1枚目は周辺の画質チェック用で、下は単純に解像度チェックということで。
ソニーユーザー必須の神レンズ!
- 重量
- 焦点距離
- 値段
この3点さえ許容できるのであれば、ソニーEマウント用のズームレンズとしてはトップレベルの描写性能の神レンズだと考えて間違いないと思います。
本当に素晴らしいレンズだと思うし、このレンズをα7R IIIに装着して使っていると、私のような機材オタクでさえ、キヤノンやニコンのフルサイズミラーレスを買ってみたい(使ってみたい興味はありますが)という興味が失せてしまうほど。
やっぱり重いし、実際撮影しているとテレ端70mmだとやっぱりもう少し距離が欲しいと感じることも少なくないし、フルサイズのF2.8通しの標準ズームレンズでこの値段はむしろ安いものの、それでもレンズだけで12万円はやはり贅沢だとは思います。
とはいえ、買って使えばお値段以上の価値あるレンズだと実感できると思うので、ソニーのフルサイズミラーレスカメラを所有しているのであれば、是非お手持ちのラインナップに加えて欲しいレンズです。
「28-70mm F2.8 DG DN」が発売
今回のレンズとは焦点距離が多少異なりますが、同じシグマから「28-70mm F2.8 DG DN」が発売になりました。
28-70mmの方は「Contemporaryライン」といって、今回紹介した「Artライン」よりも格下に位置するレンズではありますが、劣るのは質感や機能性(ボタンやスイッチ類)くらいで
描写性能に関しては一緒です
とYouTubeでシグマの開発担当者が言っちゃっているので、その通りで非常に良く写るレンズと考えて間違いないと思います。
何しろ今回紹介した24-70mmと比較すると半分の軽さなのが一番の魅力で、特に動画を多く撮影する方にとってはジンバルに乗せやすいこともあって重宝しそうですね。
しかもフィルター径が狙ったのか否か分かりませんが、タムロンがEマウント用でこだわって揃えまくってきた67mmなのも見逃せない点かも。
今までEマウント用のタムロンのレンズを使ってきている人ならNDフィルター等のフィルター類を別途購入する必要がないので。
- 28mmスタート
- 劣る質感
くらい?しか24-70mmと比較して負けているところがないから、今買うなら「28-70mm F2.8 DG DN」のほうがおすすめかも。
個人的には買い替えませんし、追加購入することもありませんが、ちょっと羨ましく感じてしまいました。
コメント
発売日が未来になってますが。。。(笑)。
いつかは手に入れたいレンズ。
でも、カメラも手に入れたばかりなので納得できるまで現場で撮りまくろう。
ご指摘有難うございます!助かりました。
記事の初っ端からいきなりやらかしてしまってお恥ずかしい限りです(苦笑)
このレンズ本当に良いレンズなので是非入手して使ってみて下さいませ。
初めまして..私フジX-H1を所有しておりますがソニーα7RⅣへの鞍替えを考えております、2.8通しの標準ズームを純正にするかシグマにするかで考えていたので大変参考になりました..m(_ _)m
ありがとうございました。
はじめまして。
わざわざご丁寧に有難うございます!
そう言って頂けると本当に嬉しいです。