ソニーEマウント用フルサイズ対応の最新超広角ズームレンズFE PZ 16-35mm F4 G(SELP1635G)を購入しました。
超広角レンズはフォクトレンダーのこの15mmのレンズを所有していたのですが、このレンズはその後購入した
シグマのこの24-70mm F2.8の24mm側で満足してしまい、処分してしまっていました。
今回も正直購入するか迷いましたが、動画撮影する機会も増えているので、動画撮影にも特化した様々な機能や性能が盛り沢山のこのレンズは1本置いておいても良いのかなと考えて買ってみることに。
SELP1635G開梱
化粧箱は毎度お馴染みのオレンジの箱で、表面がビニール製で撥水加工が施されているレンズポーチが付属しています。
ちなみに、ソニー系の商品は基本的には補償が手厚いソニーストアで購入しているのですが、今回は使っていないPayPayが沢山あったためヤフーショッピング内の「カメラの大林」さんで購入しました。
毎回即発送してくれるし、梱包も非常に丁寧なので何の不満も不安もなく購入可能な優良ショップです。
SELP1635Gの外観やデザイン
デザイン的には同じソニーのEマウント用フルサイズレンズの「SEL20F18G」に近く、SEL20F18Gにパワーズームの物理レバー等を追加したような印象で、個人的にデザインは結構好みです。
ちなみに私はSEL20F18GもGooPassというレンタルサービスで一時的にお借りして使用していましたが、こちらも本当に素晴らしいレンズでした。
質感は樹脂っぽくてお世辞にも良いとは言えませんが、軽量化や価格面を考えてのことでしょうし、そこまで気にするほどは安っぽくはないので許容範囲内。
サイズ感としては所有している人も少なくないと思いますが、ソニーEマウント用の「SEL85F18」にかなり近いです。
レンズフードは非常に浅い「ALC-SH172」という型番のフードが付属。
SELP1635Gの仕様
- レンズ構成:12群13枚
- 最短撮影距離:0.28m(ワイド端)0.24m(テレ端)
- 最大撮影倍率:0.23倍
- 焦点距離:24-52.5mm(APS-Cカメラ時)
- フィルター径:72mm
- 大きさ:最大径80.5mm × 長さ88.1mm
- 質量:約353g
仕様はこんな感じ。
また、仕様とは別にレンズの機能や性能を表す表記があるのですが、
SELP1635Gはこの通りで、とにかく機能・性能はてんこ盛り。
AAの略は「高度非球面AA(advanced aspherical)レンズ」等の機能・性能の説明は上記の公式サイトのページに記載がありますので、詳細が気になる方はチェックして欲しいのですが、これらがてんこ盛りだと優れたレンズというわけではないものの、基本的にはGMレンズ等の高額レンズになればなるほどこのマーク(記号)が多くなるので、コストをかけて作られているレンズということは間違いないようです。
ただ、手ブレ補正機能は非搭載。
ソニー機はボディ内手ブレ補正搭載のカメラが多いので、あえて非搭載にしてその分、小型軽量化や値段をおさえることに注力したのかも。
リングは手前(マウント側)から「絞りリング→ズームリング→フォーカスリング」の順。
Gレンズを表す「G」のマークの下にテレ側、ワイド側の表記がある通りでズームレバーがあり、その下には機能を割り当て可能なボタン(フォーカスホールドボタン)と、AF/MFの切り替えスイッチ。
反対側にはアイリスロックスイッチと呼ばれる「撮影中不用意に絞り値が変わらないように、LOCK位置では「A」ポジションもしくはF4-F22の間で固定、RELEASE位置では「A」を含む絞り全域での操作が可能」というスイッチがあり、その下にCLICKと書かれた絞りリングを回した際の音をオンオフする「絞りリングクリック切り換えスイッチ」があります。
こんな感じで本当に機能・性能、物理ボタン類はてんこ盛り。
SELP1635Gの気に入った点
SELP1635Gはインナーズーム
ズームレンズでありながら、ズームしても中の鏡筒が伸びず、レンズの全長が変わりません。
インナーズームだと、動画撮影でジンバルに乗せた時にズームしてもレンズの全長が変わらないから前後のバランスが崩れなかったり、ズームした際に伸びた鏡筒に水滴やゴミ、チリが付着したまま縮めてしまってレンズ内部に入り込んでしまうことが防げるため、防塵防滴性能も高まるようです。
もっとも防塵防滴に関してはカメラ側の防塵防滴性能も関係してくるからレンズ側だけの性能だけでどうこうという話ではありませんが。
インナーズームのデメリットも何かしら当然あるのでしょうが、個人的にこのインナーズームというのは購入の決め手のひとつになりました。
なお、電源オフ時に直後にズームしていた焦点距離は記憶されるようで、例えば24mmで電源オフにすると次回電源オンの際に24mmから開始します。
SELP1635Gはパワーズーム
ズームする際にズームレバーを倒すことでテレ側、ワイド側に一定速度でズームすることが可能なので、主に動画撮影時に非常に重宝します。
ゆっくり倒せば本当にゆっくり、速く倒せば速くとズームの速度変化も自由自在。
レバーを速く倒した場合はかなり高速にズーム、ズームアウトさせることが可能ですが、ズームリングを使うと若干ですが更に高速に動作するようなので、ワイド端、テレ端と頻繁に変更する際もストレスは感じませんでした。
また、パワーズームなので、このリモコンやスマホアプリの「Imaging Edge Mobile」等の対応機器やアプリを使用することで遠隔操作でズーム、ズームアウトが出来ます。
試してみたところ、かなり遅いズーム動作で速度切り替え不可にはなりますが、写真撮影時、動画撮影時両方共に遠隔ズーム、ズームアウト可能でした。
ちなみに「αレンズでは初めてズーム群駆動にもXDリニアモーターを採用」ということが公式サイトに記載してあります。
これによってこのXDリニアモーターなしの場合とどのくらい性能が異なるのかは私は分かりませんが。
良好な描写性能
これに関しては一般ユーザーの私は事前に調べることは出来ないから先行貸し出しのYouTuberさんとかのレビューをあてにしましたけど、実際に使ってみてもやはり素晴らしい性能なのは実感できました。
下記の「作例」欄で作例と共に記述しておきます。
SELP1635Gは無音
今は動画撮影時でもAF時にフォーカス音がしないレンズが本当に多くなりましたけど、このレンズはパワーズームですからズーム時まで無音だし、絞りリングを回す際の音も消せますから、ほぼ無音で運用可能です。
SELP1635Gは軽量コンパクト
35mmフルサイズセンサー対応のズーム全域開放F値4の広角ズームレンズとして、小型・軽量設計で世界最軽量の質量約353gを実現しているとのことで、非常に軽量コンパクトな作りになっています。
おまけにインナーズームで鏡筒が伸びないから、ズーム域に関わらずレンズの全長が変わらず全く同じ重量感で使用可能というのも利点。
EマウントだからAPS-Cのカメラにもそのまま装着可能ですが、更にコンパクトなα6000系のカメラのボディとも相性はバッチリ。
写真はα6500ですが、フルサイズ用のレンズを装着すると太すぎることが多く、平面に置くとボディが傾いてしまって何とも気持ちが悪いのですが、このレンズは絶妙な太さなので問題なく置くことができます。
レンズは重くても描写性能が抜群に良ければそちらを持ち歩きたくなるのは当然でしょうが、軽くて同等に写るならそれに越したことはありません。
お手頃な値段
私はPayPayボーナスも加えると13万円をちょっと切る程度で購入しています。
フルサイズのF4通しの16-35mm(いわゆる小三元レンズ)としてはお手頃価格というより普通なのかも知れませんが、なにしろインナーズームだったり、リニアモーターを2基搭載していたりと様々な機能・性能が備わっている最新レンズとして考えるとむしろお買い得なのかなと。
パワーズームに加えて、フォーカス時のブリージングや、ズーム操作に伴うフォーカスシフト、軸ずれを抑制してあるとのことなので、スチルはもちろんのこと、動画撮影にも向いているレンズですし。
他社だとまずパワーズームのレンズってだけでなかなかありませんから。
SELP1635Gのいまいちな点
ゴースト、フレアが発生しやすい印象
コーティングはしてあるとのことですが、逆光であえてゴーストやフレアが出たところでカメラを構えて撮影したとはいえ、ゴーストやフレアがそれなりに出やすい印象を持ちました。
この写真はゴーストが分かりやすいように明度を上げているため、フレアも目立つ形になってはいますが、ゴーストは写真右下にかけて様々な形状で写り込んでしまっています。
風景写真なんかだとアクセントになってむしろ好ましく感じる人も少なくない気はしますが、特に人物撮影の場合は写真、動画両方で入ると困る人も多いと思うので、ちょっと注意は必要かも。
特に動画撮影時に顔にゴーストとか入り込んでしまうと除去するのが難しい(面倒くさい)でしょうし。
まぁ本当に上手な人はそれすら利用するのでしょうが。
ちなみに写真の通りで、光条や光芒はなかなか綺麗に出るようです。
動画撮影時のAF性能に難あり?
私が愛用しているα7RⅢは古めの機種で、最新機種のα7Ⅳやα7SⅢ等のカメラよりもAF性能が劣る(AF性能は2世代前?)ことが要因なのかも知れませんが、主に動画撮影時のAF性能をシグマの「24-70mm F2.8 DG DN」と比較した際に、AF性能の差をほとんど感じられなかったのがちょっと残念でした。
動画は逆光時で手前の被写体は真っ黒のレンズとかなり意地悪な環境でテストしてみていますが、背景から手前にレンズにピントを変えると迷ってしまって遅くなることがどちらのレンズでも同等レベルで起こりますし、動画にはアップしていませんが、例えばうちの猫がちょっと離れたところから小走りで駆け寄ってくるようなシチュエーションでもどちらのレンズも追うことが出来ずにピンぼけしてしまうことがほとんどです。
ソニー純正でリニアモーター搭載の最新レンズということで期待しましたが、このレンズの性能を最大限活かしたいならやはりカメラ側も最新機種に買い替えが必要なのかも。
逆にいうと、α7RⅢのようなちょっと古めのカメラのAF性能だと、シグマやタムロンと純正レンズとでAF性能の差はあまり生じないのかも知れません。
まぁそのくらいシグマやタムロンのEマウント用レンズもAF性能が高くなっているということなのかも知れませんが。
なお、α7RⅢのAF性能は最も台数出ているであろうα7Ⅲと比較しても劣ると言われていますので、α7Ⅲならもっと良好なのかも知れませんし、もしかすると私の個体の問題、ファームウェアで今後修正される問題なのかも。
16-35mmは短い
超広角ズームレンズなわけで、これは言っても仕方がないし、分かった上で購入しているわけですが、やはり35mmまでだと焦点距離が短くて物足りなく感じることが多々あります。
キレイな蝶が突然飛んできて撮影しようと思っても、ある程度まで近づくと逃げるから35mmまでだとこのくらいのサイズでしか写真におさめることが出来ません。
広角を24mmで我慢して24-70mmを持ち歩いていればこの倍近くは寄れたわけですから、そう考えると、超広角が欲しい時以外は遥かに重量級でも24-70mmをつけて出歩くことになっちゃうのかなとは。
サイズ的に持ち運びやすいサイズだし、動画撮影時は擬似的とはいえ焦点距離を伸ばせる「全画素超解像ズーム」や「デジタルズーム」も併用可能ですけども。
SELP1635Gの作例(サンプル写真)
以下、α7RⅢとの組み合わせでの作例で、横680pxとかなり縮小しているため、スマホ閲覧がベストかも知れません。
SELP1635Gの画質(解像感)
JPEG撮って出しでピントは奥の神社に。
あえて絞り開放F4で撮影してみましたが、超広角の16mmなのでカメラ内で補正は入っていても周辺の歪みや流れ、描写の甘さは見られますが、予想した以上に検討しているような気はします。
こちらはRAW現像してみた写真ですが、F7.1とかまで絞れば周辺含めて特に解像感(解像度)に問題は感じませんでした。
ちなみにLightroomのレンズ補正は最近対応したみたいで、2022年6月17日現在で普通に適用可能になっています。
鳥瞳AFは私のα7RⅢでは対応していませんが、何故かこの鳥(東天紅鶏という天然記念物の鶏だそう)は金網越しなのに瞳を認識しました。
16mmだと想像以上にパースがつくので、ファインダーや液晶をのぞいているだけでも楽しかったりしますね。
超広角だと被写体が小さく写ってしまうため、解像感の確認は撮影した本人しか分かりづらいと思いますが、本当に良く写るレンズなので問題はないと思います。
ただ、単焦点と比較するのは酷とはいえ、やはり冒頭に記述したフォクトレンダーの15mmのような非常に良く写るレンズと比較してしまうと写りの緻密さには欠ける印象はどうしても持ってしまうかも。
また、開放F4は中央でもちょっとフワッと柔らかい描写になるようで、F5.6まで絞るとキリっとした描写になる感じ。
SELP1635Gのボケ味
JPEG撮って出しですが、ボケ味は割と素直で綺麗な印象を持ちました。
こちらもJPEG撮って出しですが、二線ボケが出やすい被写体でもそんなに酷いボケ方することもありません。
35mm側がかなり寄れるので、被写体に寄ればそれなりに大きくボカすことも可能です。
SELP1635Gの玉ボケ例
焦点距離35mm、F4の玉ボケ例。
口径食とか見られますが、結構綺麗な円形なんじゃないかなとは。
SELP1635Gの歪曲収差例
RAWで撮影した写真で、焦点距離16mm、F5.6で、Lightroomでの補正前後はこんな感じ。
これも結果的に綺麗に補正してくれるわけだから、そんなに気にならないはずだし、16mmならどこのメーカーのレンズを使ってもこんなものかと。
周辺光量落ちも当然見られますが、これも個人的には全然許容範囲内でした。
16mmと35mmでの写り(画角)の違い
同じ位置から16mmで撮影した後に35mmまで伸ばして撮影してみた2枚の写真。
ワイド端16mmとテレ端35mmだとこのくらい違いが出ます。
シグマ24-70mm F2.8 DG DNとの比較
常用レンズでα7RⅢに付けっぱなしにしている「24-70mm F2.8 DG DN」との描写力の違いの比較をしてみました。
部屋の壁紙に黒く塗り潰したテープを中央の目印にして、焦点距離35mmでF4、F5.6、F8、F11とそれぞれ撮影してみたところ、
「SELP1635G」はやはり開放のF4はフワッとした描写で、F5.6まで絞ると「24-70mm F2.8 DG DN」と同レベルで写ります。
周辺はF8まで絞っても「SELP1635G」は「24-70mm F2.8 DG DN」と比較してしまうと、ちょっとフワッと甘い描写というか流れ?がちょっと気になるのかなと。
もっとも動画撮影時は気になりませんし、比較さえしなければ十分満足いく描写性能だとは思いますけど。
後日、シグマのワイド端が24mmなので、24mmに合わせてチェックもしてみました。
富士フイルムで作ってもらったパネルで、油絵のように凹凸がある特殊な用紙。
両方レンズ共にかなり寄れるので、ほぼ全面入れて撮影してみて、F4とF8それぞれ中央中心に比較してみましたが、
写りはほぼ変わらないかなといった違い程度でした。
「SELP1635G」も良く解像するレンズといってしまって間違いないもよう。
SELP1635Gを買って使った感想まとめ
個人的にはかなり気に入りましたし、値段もほぼ初値で購入したとはいえ妥当な値段でしたから買って良かったと素直に感じました。
解像力は十分だし、パワーズームやインナーズームだったりと欲しい、もしくは望ましいとユーザーが感じる機能や性能を多々搭載していますから、今後はこのレンズがソニーEマウントの16-35mmF4標準広角ズームレンズになるはず。
ソニーのカメラは私が愛用しているα7RⅢもそうだし、最新機種のα7Ⅳでもそうですが、動画撮影の場合は特定の設定時にクロップされてしまうため、ワイド端16mmでも広角すぎることがなかったりしますから、動画撮影メインだったり今後やってみたいという方にも最適なレンズかと。
記述した通りでゴーストやフレアが出やすい点は人によっては大きな欠点なのかも知れませんし、古めのカメラだとレンズのAF性能を活かしきれない可能性があるとは思いますが、とりあえず買って損なしの優良レンズということをお伝えしておきます。
ただ、シグマから出てるこれも気になるんですよねー。
こちらは更に安価に買えそうなので、35mmまで必要がなく、明るいレンズを希望される方はむしろこっちかな。
描写性能はシグマだから裏切らないでしょうし(というかこっちが上かな)。
個人的には「テレ端28mmは短い」のと「明るさは必要なかった」ので、今回はソニー純正を選択しました。
とりあえず今のところは買って悔いなしです。
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