FiiOのBluetoothヘッドホンアンプ&Bluetoothレシーバー「BTR5」と、発売日の2020年5月22日に購入した「BTR3K」。
写真の通り既に「BTR5」を所有しているのですが、新たに発売された「BTR3K」が更に小型軽量で持ち運びに便利な上に、Bluetoothレシーバーとしての機能が「BTR5」と大差ないことから追加購入してみています。
比較検討して必要のない方は弟にでもあげればいいかなと。
そんなわけで今回は「BTR3K」のレビューに加え、「BTR5」との比較検証も行ってみました。
なお、USB DAC機能も備える両機種ですが、
自室にはONKYOの「CR-N765」が設置してあり、私はPC(Macですが)で音楽は聴かないのでUSB DAC機能に関してはレビューしていません。
USB DAC機能に関しては、5と3とではスペック的にかなり差があるため、この機能も利用したいのであれば断然「BTR5」の方をおすすめします。
FiiO「BTR3K」付属品
BTR5と付属品はほぼ一緒でしたが、BTR5には付属しなかったストラップ(といっても安っぽい紐ですが)が付属してきました。
これを使うと首掛けとか出来るみたいですが、個人的にはクリップの方しか使わないかな。
「BTR3K」と「BTR5」との比較
サイズ比較
機種 | 寸法 | 重量 |
---|---|---|
BTR3K | 58 x 25 x 11 mm | 23.5g |
BTR5 | 72 x 32 x 11.1 mm | 43.7g |
実際に並べてみると結構大きさに違いがあるのが分かります。
特に重量はBTR5の約半分で、付属のバッククリップ装着時で薄手のTシャツの首回りなんかに挟んでもよれたりしない程度の重さに仕上がっています。
まぁ実際はズボンのポケットやウエスト部分、ベルトループなんかに取り付けて持ち運ぶことが多いでしょうから、BTR5くらいの重量と大きさでも特に問題はありませんけども。
BTR5の方も十分軽いし。
とはいえ、
- BTR3K本体(受信側)
- スマホやDAP等(送信側)
- 有線イヤホン
必ずこの3点セットで持ち歩く必要性を考えると、少しでも小型軽量の方が有難いのは確か。
サイドの物理ボタンは3と5とではマイクの位置が異なるくらいでどちらも操作はしやすいです。
こうやって横から見ても大きさの違いは一目瞭然ですね。
音質比較
比較に使用した私の環境は
こんな感じ。
私はAmazon Music HDをメイン音楽アプリとして利用しているのですが、BTR3KやBTR5とスマホをBluetooth接続することで
スマホ本体の端末の性能【24bit/48kHz】が【24bit/96kHz】まで拡張され、
コーデックにLDACやaptX HDをチョイスすることでUltra HDの音源も高音質で楽しむことが可能になります。
私は洋楽邦楽、新旧、ジャンル問わず何でも聴くので様々な楽曲を時間をかけて同じイヤホンで聴いてみて音質の違いを比較してはみましたが、ぶっちゃけ私の耳ではBTR5とBTR3Kとで音質の良し悪しを聴き分けられない程度の違いにしか感じませんでした。
オーディオクロック等が異なるものの、どちらも同じFiiOというメーカーのBluetoothレシーバーだからか音質の味付けが一緒に聴こえるため、どちらで聴いているのか途中で分からなくなるくらい音質は似通っている印象。
「BTR3K」の方が若干高音がうるさく感じて楽曲によっては耳に刺さるように聴こえる(特にHA-FD01使用時)かな?といった印象を持ちましたが、単にエイジングの問題(トータル50時間は聞いてますが)でもう少し聴き続ければ落ち着くのかも知れません。
とにかく音質面に関しては、どちらも機種も
- LDACの最高音質(990kbps)までカバー
- 2.5mmバランス接続端子あり
と、スマホ直で聴くよりも解像度や明瞭度が高いクリアで優れた音質で聴くことが可能(当然楽曲が高音質であることが条件)ですから、どちらをチョイスしても損はないと思います。
ちなみにAppleのiPhoneの場合はコーデックがAACで再生されてしまうため、このBTRの性能は完全に活かしきれないようです。
iPhoneの場合は同じFiiOならこのようなポタアンと呼ばれる端末を使うと良いそう。
Bluetoothの接続・電波強度
音質と同じくらい重要なBluetoothの接続・電波強度に関してですが、両機種共に高音質伝送の音声コーデックであるLDAC、aptX HD共に両機種も問題なく接続可能で、ほぼ遜色ない動作レベルでした。
私が今現在使用しているスマホは「HUAWEI P20 Pro」というBluetoothのバージョンが4.2の二世代前のHUAWEIのフラグシップ機なので、送信機側が4.2で、受信機(BTR)側が5.0ということになるからか、近くに置いておいても
LDACの990kbpsは残念ながら両機種共に曲を流すだけで音飛び、音途切れをしてしまって聴くことすらできないものの、標準の660kbpsなら両機種共に問題なく聴くことが可能です。
電波の受信範囲も同じ室内や隣の部屋に置いた程度なら全く問題なく、2階にスマホを置いて階段を降りて一階に降りても両機種共に音飛びや音途切れなく聴くことが可能なくらいの電波強度なので、かなり快適に使用可能。
特に私は今現在
「DX160 Ver.2020」という評判通りBluetoothの電波強度が酷いDAPを使っていたりもするから、尚更この電波強度は感心してしまいました。
色んな機能を詰め込み過ぎている弊害なのか、このDX160の電波強度は本当に評判通り酷いので。
なお、私は田舎住まいのため混線しやすい人混みでのチェックは出来ていませんが、音飛びしやすい環境でも最悪
データ転送量が低いAACとかにコーデックを落とすことがAndroidスマホなら容易に可能だから問題なさげ。
ってなわけで、BTR3K、BTR5共に音質面、Bluetooth面どちらもほぼ遜色がないため、Bluetoothレシーバー機能のみの使用を考えている場合は「より安価で小型軽量」なBTR3Kで十分なのかなという結論に。
ただし、私は比較検討した結果、BTR5Kを手元に残し、BTR3Kの方は弟にあげてしまいました。
その理由については後述します。
BTR3Kの良かった点
値段の安さ
実売17,000円程度のBTR5と比較すると、実売で10,000円のお値段はかなりお買い得に感じました。
上記した通りで私はBluetoothレシーバー目的としてしか使用しませんので、もし私がBTR5を購入した1か月前くらいの時点でBTR3Kが発売されていたら間違いなくBTR3Kの方をチョイスしていたはず。
小型軽量でコンパクトサイズ
小型軽量なBTR5と比較しても更に小型軽量で持ち運びやすいです。
余談ですが、BTRシリーズはBluetoothレシーバーですから、完全ワイヤレスイヤホンとは接続できません。
これ勘違いする人が少なくないのか、公式サイトの「よくあるご質問と回答」にも項目があったので一応念のため記載しておきます。
あくまでも有線イヤホンとの組み合わせじゃなければ使用できませんからお間違い無いよう。
高音質
比較の項目で記述した通り、BTR5とほとんど違いが分からないレベルの高音質で、LDACやaptX HDといった高音質伝送を特徴とした音声コーデックもBTR5と変わらず使えるBTR3K。
これも上記した通りで、Bluetoothレシーバーとしての使用目的であるなら、フラグシップ機のBTR5と比較しても全く遜色のない音質でした。
BTR5とBTR3Kの詳細なスペック比較表はFiiOの公式サイトの最下部に詳細が記載してありますのでご興味ある方は。
専用アプリ「FiiO Control」が優秀
イコライザー機能も備えるデザインもシンプルで使いやすい専用アプリ「FiiO Control」がなかなか使いやすくて良い感じです。
BTR3K本体の質感
BTR5同様に表面にガラスコーティングが施されているため、コンパクトな端末ながら高級感があります。
ここら辺エントリーモデルでも全く手抜きしていないで作り上げた点に好感を持ちました。
Bluetooth接続の安定性
接続の安定性等に関しても比較の項目で書いた通りで、Bluetoothバージョン4.2と古めの私のアンドロイドスマホでも全く問題ありませんでした。
また、通常のBluetooth機器と何ら変わらず、最初に1度ペアリングしてやりさえすれば後は電源オンで必ず見つかって自動接続されます。
接続時間も速く、稀に見つからないとか、再度ペアリング作業をしなければならないといった動作が不安定なことは私の場合はBTR5同様に一度も起こっていません。
60段階で変更可能な独立した音量調整機能
Androidスマホの音量調整は15段階と雑なのですが、BTR3K(BTR5も同じ)と接続することでBTR3K独自の60段階の音量調整機能が使えるようになるので、より音量を細かく調整することが可能となります。
Androidスマホも音量調整アプリをインストールすれば細かく音量調整が可能になりますけど、BTRを接続すればスマホにアプリを入れる必要はありません。
余談ですが、同じくAndroidベースだからか、ウォークマン「NW-A105」もBluetoothイヤホン使用時は音量調整が15段階のみとなってしまいます。
そこで「ExtraVolumeConfig」という音量調整アプリをNW-A105に入れてみたところ、完全ワイヤレスイヤホン使用時でも細かく音量調節が出来るようになったものの、電源をオフにした後、再度使用しようとしたら何故か音量調節の物理ボタンが全く効かなくなってしまい、結局ウォークマンを初期化する羽目になりました。
BTR3Kのいまいちだった点
微妙にグラつくバッククリップ
これは私の個体の問題かも知れませんが、この携帯用のバッククリップを本体に取り付けた際に、本体との間に微妙な隙間が出来てしまって、軽く振るとカタカタ音がしてしまいます。
BTR5の方は完璧にフィットしていてこのようなことが無いので余計に気になってしまいました。
動作中に常時点滅しているFiiOの文字
FiiOの文字に点灯するライトが動作中に1秒間隔くらいで常時点滅していて鬱陶しいです。
これに関してはFiiO Musicアプリの設定から「RGB indicator」→「RGBライトをオン・オフ」でライト表示をオフにすることは可能なのですが、オフにしてしまうと今度は一切ライトが点灯しなくなるため、これはこれで不便になります。
また、何が原因かは不明ですけど、ライトをオフに設定しているにも関わらず、何故か動作中にまたライトの点滅が始まることがあります。
FiiOの文字が白じゃなくて薄紫
LDACで接続している際に白のライトで点滅するはずのFiiOの文字が
どう見ても薄紫にしか見えません。
まぁ大したことじゃないですが、ちょっと気になりました。
度々「端末性能」が下がる
Amazon Music HDで容易に確認可能な「端末の性能」が【24bit/96kHz】から【24bit/48kHz】に戻ってしまうことが度々起こりました。
これは表示だけじゃなくて視聴すると実際に音質も劣化しているのが分かるため、単純に端末の性能が下がってしまうみたい。
アプリを再起動したり、Bluetooth接続をオフにした後再度オンにしたりすると元に戻るのですが、BTR5では全く無かった症状だけに気になりました。
ホワイトノイズ?ヒスノイズ?
サーっと聴こえるだけじゃなく、ブチっというノイズも度々入ってくるようなヒスノイズのようなノイズ音で、何という名前のノイズ音なのかはオーディオに関する知識があまりないので断定できないものの、2.5mmのバランスケーブルで接続するとこのような耳障りな音が聴こえて気になって仕方がありませんでした。
視聴はこの構成で、深夜の静かな時間帯で辻井伸行さんのショパンのエチュードのようなピアノオンリーでノイズが聴こえやすい楽曲だとノイズが気になって試聴に耐えられないレベル。
楽曲をBTR5やDAPのウォークマンNW-A105、DX160 ver.2020でチェックすると全く無音(当たり前だけど)でしたから、購入したeイヤホンさんに初期不良対応をお願いして新品交換してもらったものの、交換品も全く同じだったので、これも単に私のスマホとの相性が悪くて聴こえるだけなのかも知れません。
もっとも私のスマホはFiiOと同じ中国企業のHUAWEI製品なんですけどねー。
Mac版有料のファームウェアアップデート
最新のファームウェアアップデートの配信が来たものの、何とWindows版のみでMac版がありませんでした。
アップデートの際に必要となるアップグレードツールがWindows版しか用意されていないからで、Macしかない環境の人は有償アップデートになるそう。
私はWindowsは現在5、6年前の動作不安定なマシンと、壊れてしまったlenovoタブレットしかないので有償でお願いする形しかなく、上記したいくつかの問題(特にノイズ)がこのアップデートで解消されるかも?と思いましたけど、これでもう面倒臭くなってしまって弟にあげることに。
Windowsマシンを持ってる友人にでもちょっとアップデートしてもらったり、マシンを借りたりってことも出来なくはないけど、私の周りはMacやiPadオンリーばかりで、Windowsマシンを持っていない人がほとんどだし、しかもこのご時世ちょっと頼みづらいってことも。
そもそも何でMacユーザーだけがハブられなきゃいけないのか意味が分からず・・・。
ちなみにアップデート可能なWindowsユーザーも「アップデートで失敗で故障した場合は修理費は有償になるので、作業に不安があるならアップデートしない考え方もあります」
みたいなことも書かれていますのでアップデートする際は慎重に。
BTR5の方をチョイスすることに
書いた通り、Bluetoothレシーバーとしての能力はほとんど違いが分からない程度で、音質やBluetoothの接続強度等で違いが見られないレベルに感じました。
これで小型軽量な上に価格も5,000円程度安いのですから、コスパは相当なもので、USB DAC機能を使用しないのであればBTR3Kの方をオススメします。
とはいえ、私の環境だとどうしてもBTR3Kのみノイズ音が聴こえてしまうのと、動作不安定な点を修正できるかと心待ちにしていた最新ファームウェアがMac環境だとアップデート出来ないことを知り、私の場合はBTR5の方だけ残すことにしました。
BTR3Kの購入を検討中の方に対しては、今は在庫品が捌けるのを待って、今後最新のファームウェアが適用された製品が市場に出回るのを待ってから購入された方が良いのかもと。
書いた通りでMac環境のみの場合は最新ファームウェアは有償アップデートになるし、Windows環境があっても万一アップデート失敗した場合は有償修理になってしまうし・・・。
やはり使用スマホとの相性等があるから一概には言えず確証は持てないものの、私が使ってみた限りでは、BTR3Kは書いた通りで動作が不安定な部分があるんじゃないかと考えています。
だからこそこの早い段階でファームウェアのアップデートが来ているのでしょうが。
少なくても私には間違いなくノイズ音が聴こえるし、Amazon Music HD使用時に端末の性能が度々下がってしまう現象も確認しています。
そんなわけで今現在は弟のものとして活躍中のBTR3K。
ちなみに、弟は「iPhone 11 Pro Max」と「Huawei P30 Pro」を使用中(仕事用とプライベート用だそう)で、BTR3Kはファームウェアのアップデート後にP30 Proで使ってみている限りはノイズ音や動作が不安定なことは今のところ無いとの報告でした。
なお、私が言い忘れてしまったのが悪かったのですが、弟は受け取って直ぐにファームウェアのアップデートをしてしまったとのことで、私が感じたノイズ等の件に関して、アップデート前後で違いがあったか否かを試してもらうことが出来ませんでした。
【ご注意】Macユーザーはアップデート出来ず
BTR5のファームウェアアップデート(FW2.0)が来たので1.0.6からアップデートしようと思いましたが、BTR3K同様にWindowsのみの配布となるため、Macユーザーはアップデート出来ませんでした。
Macユーザーがアップデートする場合は、個別に問い合わせて有償でアップデートしてもらう形になるとのこと。
これはFiiOの方針のようで、以前からアップデートの際にPCが必要になるFiiO製品は全てWindowsのみしかアップデート出来なかったみたいですね。
Macユーザーはアップデートしたかったらお金払ってね
Macユーザー軽視とも取れるこのような対応は一体誰得なんだろうか?
BTR5も手放しました
製品自体は非常に気に入っていましたが、Macユーザーとしては、やはりファームウェアのアップデートが有償扱いになるのはどうしても納得がいかず。
今現在はウォークマンとDX160があるからスマホで音楽を聴く必要性もなくなったし、自室にはステレオがあり、Macで音楽を聴くこともないからUSB DAC機能も使わないし、と言ったことも手放す要因に。
同じFiiO製品で「BTA30」も欲しかったんだけど、ネットワーク機能を有しないFiiO製品は全てMacユーザーのみファームウェアのアップデートが有償になるから止めました。
っていうか、私はもうFiiO製品を買うことはないかな。
コメント
(今さらコメントすみません)
Bluetooth4.2だと通信速度は1MbpsなのでLDACの990Kbpsだと損失もあるのでキツイですね…
逆に5.0だと規格上の通信速度は2Mbpsなので990Kbpsでも余裕があり大丈夫だと思われます
ご丁寧に有難うございます。
BTR3K、BTR5共にBluetoothのバージョンは5なのに、
スマホ側が4.2だから仰る通りダメだったんでしょうね。
スマホを買い替えるか、追加購入してチェックしてみれば良かったのでしょうが。